解雇紛争は証拠書類が勝負!

いよいよ本格的な冬を迎えて、さらに寒さは増していくと思われます。皆様、いかがお過ごしでしょうか?私、冬は得意ではないです。(単純に寒いのが嫌いなんです…)

さて、前置きはこれくらいにして、今回は解雇問題について取り上げてみたいと思います。

雑誌やテレビ等などで、「お前はクビだ!」「明日から来なくていい!」などのセリフがありますが、労働契約法16条では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と規定しています。

ここで言う「客観的に合理的な理由」とは、解雇に対する事実が存在したことを第三者に対しても立証できる必要があるということです。事実の立証は会社が行う必要があるので、解雇に至った指導票、顛末書等の証憑を保管しておくことが重要となります。

もう1つ「社会通念上相当であるか」とは、簡単に言ってしまえば解雇することが世間の常識から考えて厳しすぎるといった場合は、社会通念上の相当性を欠くことになります。

この、社会通念上相当とみなされるのか、みなされないのかでよく問題になるのは、「能力不足を理由とする解雇」です。期待して中途採用で入社したが、思うような結果を残さないので解雇したいといった案件が多くなってきています。

「能力不足を理由とする解雇」は、特にトラブルになりやすいので、解雇に至る要件を具体的に規定しておくとよいでしょう。その際に考慮すべき要素は以下の通りです。

 ①    従業員の能力が他の従業員と比べて著しく劣ること(その客観的な証拠が提出できること)

 ②    度重なる指導・教育をしても改善されず、今後も改善の見込みがないこと

 ③    配置転換、降格等により雇用を維持することができないこと

「能力不足を理由とする解雇」が裁判等で争われることになった場合、会社は以上の要素を証明できる証拠を提出する必要があります。逆に言えば、これらの要素が1つも当てはまらないといったことになると、会社側は相当不利な立場になりかねないということです。

解雇問題は非常にデリケートな案件なので、会社側は慎重に対応することを心がけていただければと思います。年内は私のブログは最後になります。少々、早いですが皆様よいお年をお迎え下さい!!

渡辺