今回は、平成25年4月1日より施行される改正高年齢者雇用安定法について
考えてみたいと思います。
改正法では、60歳以降の継続雇用について、労使協定で基準を設けて選定する取扱いを
廃止していますが、現在、労使協定により基準を定めている企業に対しては経過措置を認めています。
ここで、現在の労使協定を、改正法施行日である平成25年4月1日以降も変更せずに
使用できるかが問題となります。
厚労省Q&Aでは、次のように述べています。
Q:改正高年齢者雇用安定法が施行された時点で労使協定により継続雇用制度の対象者を
限定する基準を定めていた事業主は、経過措置により当該基準をそのまま利用できますか。
老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢に合わせて段階的に当該基準の対象者の
下限年齢を変更しなければならないのですか。
A:・・・労使協定を改定せず、継続雇用制度の対象者を限定する基準が適用される者の
下限年齢が定められていない場合においても、当該支給開始年齢以上の者のみを対象
として当該基準が運用されるのであれば、経過措置の趣旨から、当該基準をそのまま
利用することとしても差し支えありません。
上記のQ&Aは経過措置の適用年齢という観点から、労使協定の改定は必要ないと
述べています。
しかし、現在の労使協定に定められた基準は次のようなものが多いのではないでしょうか。
①定年退職日前3年間において、勤務成績D未満を3回以上受けていないこと
②定年退職日前3年間において、降格以上の懲戒処分を受けていないこと
となると、61歳以降の雇用継続の判断基準として、上記の内容がふさわしいかと問われると、
甚だ疑問です。
改正法施行に伴い、経過措置を使用する場合は、現在の労使協定の内容も今一度精査し、
必要に応じて労使協議の上、変更していくことが必要になるのではないでしょうか。
佐藤拝