法令遵守・トラブル防止の労働条件明示とは?

ゴールデンウイークも終わり、これから梅雨へと移行していく中で
みなさまいかがお過ごしでしょうか?
 
気温も上がってきて体調も崩しやすいので体調管理のほうも気をつけていきましょう。
 
さて今回は会社側の労働条件明示の勘どころについて述べたいと思います。
 
労働契約を締結する際、労働者に対して必ず書面で交付することが義務づけられている
労働条件は以下の通りとなります。(④の昇給に関する事項は除く)
 
労働契約の期間に関する事項
 
就業の場所と従事すべき業務に関する事項
 
始業と就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、
  労働者を2組以上に分けて就業させる場合の就業転換時に関する事項
 
賃金(退職手当、臨時に支払われる賃金、賞与等を除く)の決定・計算・支払いの方法、
  賃金の締切り・支払いの時期、昇給に関する事項
 
退職に関する事項(解雇の事由を含む)
 
①の期間に関しては、定めがある場合にはその期間を明示し、期間の定めがない場合は
「期間の定めなし」というように、その旨を明示する等、詳細部分についてもきっちりと書面で
明示する必要があります。
 
※改正労働契約法が施行された平成25年4月1日以降は、契約期間の定めがある
労働者に対しては、次の事項を上記労働条件の明示事項に追加する必要があります。
 
(1)契約更新の有無(例:自動更新、更新する場合がある等)、
 
(2)契約更新の判断基準(例:業務量、当人の勤務成績等を勘案して判断する等)
 
また、これら以外に会社独自で定めたものに関しては(例えば退職金制度を導入している、
表彰制度と制裁制度を設けているなど)その旨も、明示しなければなりません。
 
既存の従業員に対して、法令の要件を具備した労働条件明示を行なっていない
という会社様も見受けられます。
 
(労働条件が明示されずに労働契約が締結された場合は、法違反ではありますが、
労働契約自体は有効に成立しています。)
 
このような企業においては、この機会に、現在の従業員との労働条件を確認する意味も兼ねて、
労働契約を書面で作成することを推奨したいと思います。
 
また、労働契約法では、労働契約の締結について次のように定めています。
 
(労働契約の内容の理解の促進)
第四条  使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解
を深めるようにするものとする。
2  労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)
について、できる限り書面により確認するものとする。
 
以上から、労働条件を明示する際には、「書面を渡してそれで終わり」というのではなく、
直接説明し、必要に応じて質問をしてもらい回答するという方法が望ましいです。
 
イメージとしては、引越し時に賃貸借契約を結ぶ際に、逐条説明を受ける形が近いでしょう。
月額何十万円もの契約を結ぶわけですから、そこまでしても過剰ではありません。
 
また、労働条件明示義務が無い項目も書面にすることがトラブル回避の観点からは重要です。
 
渡辺